4、以上のことから、私なりにホールの総建築費を試算(私算)してみました。
(1)勝浦のキュステもグレードの高い施設ですが、最近の入札状況に見られる建築費の上昇、及び、より理想に近い施設を目指す観点から、勝浦のキュステと舞台専門家の理想の概ね真ん中で、反響板込の総建築費単価を、㎡720千円とおきます。
(2)800席のホールを持つ公共施設の延床面積は、平均3、400㎡〜4,200㎡ですから、これに㎡720千円を掛けますと、2,448百万円〜3,024百万円。つまり、概ね、25億円〜30億円となります。
5、グレードを理想に近い形に上げれば、さらに総建築費は上がりますが、席数を600席程度に減らす、あるいは他の貸室をやめ、ホール単体に近い形態にするならば、計算上は20億程度にまで減額が可能かと思います。但し、それが様々なニーズに答えられるホールになるかどうか?検討を深める必要があろうかと思います。
Ⅱ次に、ランニングコストについてでありますが、私はこの検討は非常に重要であると思っています。
1、まず勝浦(キュステ)の現況であります。
(1)稼働日数は、年間開館日数308日、休館日数57日
(2)利用率は、平成30年度、ホールが34.2%、全体で28,95%です。因みに、勝浦市の人口は令和元年11月時点、17,265人と青梅市の8分の1程度、財政規模は一般会計が約70億円で青梅市の6分の1程度です。
(3)使用料(収入)は、ホールが年間832万円ありますが、内減免額が594万円で、実収入額は238万円となります。全体では1186万円の内減免が825万円あり、実収入額は360万円です。
(4)特別委員会は大変良い視察をされ、よく分かる報告をされていますが、「市議会リポート187号」の中で、結城委員長は次のように、コメントされています。勝浦市芸術文化交流センター・キュステは、移動観覧席を電動で簡易に移動させ、ひな壇式にも平土間式にも変更できる可変性があり、文化、芸術を含めた市民の多様なニーズに応えられる施設であると感じた」としつつも、「直営とはいえ年に4、000万円程の維持費がかかるなどの費用負担を考慮する必要がある。」と問題提起をしておられます。この管理運営費に加え、人件費、事業費を加えると市として、かなりの持ち出しとなっているのではないか?と私は推察します。
そこで、2、管理運営費等について、一級建築士に専門家としての立場から意見を求めました。以下は一級建築士の意見をベースにした私算です。
(1)この種の建物の管理運営費の全国平均は、概ね㎡当たり年間15,000円とのことです。因みに、沖縄が一番安く㎡1万円、東北・北海道では1万8千円位を見込むそうです。これを、概ね平均4、000㎡の建物にかけると、6千万円、つまり、年間6千万円程度が管理運営費と見込まれます。事業費や人件費はどこまで事業を積極的にやるかによって変わってくる変動経費なので、幅があるとのことです。但し、劇場を想定した場合、平土間から立ち上げるにはその分の時間とコストがかかることは当然であります
(2)次に、人件費ですが、冒頭の舞台専門家の考える理想の劇場では、300万円〜500万円の年収の人間が10名必要となります。これを、半分の5人と見ても、年間の人件費は15百万円〜25百万円となります。
(3)次に肝心な収入、そして人件費です。
舞台専門家によりますと、劇場をベースに計算した場合、公共施設の使用料(貸室料)は1席当たり、概ね150円程度とのこと。逆に言えばこの程度しか頂けないということです。これを基に、計算すると、800席を1日1回転で、12万円、300日の稼働で年間3600万円となります。旧市民会館の稼働率は30%台でしたが、様々な努力をして、60%の稼働率を確保するとして、年間2160万円の収入となりますが、勝浦キュステのように、減免を考慮しなければなりません。他の貸室の収入を加え、一方、事業経費を差し引くと、人件費を賄えるかどうかの程度にしかならないのではないか?と考えられます。つまり、「結論的には、管理運営費分の60百万円程度がランニングコストとしての年間の持ち出しとなるのではないか」というのが、私の計算になります。
長々と述べてまいりましたが、質問です。
1回目
1、コロナ禍の影響もあり「利活用構想」の進捗が遅れているようにも思いますが、
(1)ゾーニング・タイムスケジュール等を含めた、利活用構想の現状を伺う。
(2)その利活用構想の中での、ホール位置づけを改めて伺います。また、ホールが予定される場所、またホールとして使える土地面積はどの程度可能と考えられるのか?さらに、ネッツたまぐーとの関係についてはどう考えているのかお示し下さい?また、たまぐーの稼働率及び管理コストをお示し下さい。
(3)ホールについての検討のタイムリミットはあるのか伺います。
2、次に、私が示した、コスト計算、試算(私算)についてです。
(1)個人的な計算によるものですが、どのように受け取られたか?お聞かせください。
(2)お示ししたのはあくまでも、限られたデータを基礎にした個人の試算であります。より、正確を期すためにも他の専門家からも、この種の見解を聴取できないか?場合によれば、予算を取りコンサルタント会社等に調査依頼をしたらどうか?と思いますが、答弁願います。
市長答弁(1回目)
新市民ホールについて、お答えいたします。
東青梅1丁目地内諸事業用地等に係る検討状況ですが、平成29年度に利活用構想を策定しました。翌30年度には、「民間事業者による企画提案」や「国との情報交換」、「本事情について多く頂いている市民意見」などを踏まえ、厳しい財政状況の下、総合的に現況を分析し、施設などの立地ゾーンの明確化や、市施設に係る丁寧な調査、検討の継続など、市として対応すべき今後の方向性を確認しました。この方向性を受け、令和元年度には、本用地内の施設配置を定めるとともに、市民意見聴取としてアンケート調査を実施しました。本年度は、ホールにかかる懇談会を新設し、更なる市民意見の聴取を進める事としておりますが、新型コロナ感染症の影響により、懇談会の開催に至っておりません。
次に、利活用構想におけるホールの位置づけであります。
総合長期計画などでお示しした考えを踏まえ、整備基本方針にある「人口減少、超高齢化社会への対応を考慮した、公共施設の集約」に沿った代表的な機能の一つとしております。ホールの大きさや機能などの詳細については、会議室や子育て支援機能などと同様、具体的な検討までには至っておりませんので、現時点においては面積についてはお答えできません。配置場所につきましては、ホールは市の施設として、本諸事業用地の中央部に配置する考えであります。
次に文化交流センターとの関係であります。
新設するホールは、旧市民会館のホール機能や福祉センターのバンケットホールを継承することを視野に入れております。このことから、施設規模や設備内容などが自ずと異なるものとなると理解しております。こういった点が文化交流センターとの大きな違いであると捉えております。文化交流センターの運営状況についてであります。令和元年5月に開館し、年度末は新型コロナウイルス感染症の影響による使用制限がありましたが、令和元年度における「多目的ホールの稼働率は51.2%、」、「会議室等は46,7%」でありました。管理コストといたしましては、令和元年度の行政コスト計算における「経常費用が約9,780万円、経常収益は690万円」であり、経常行政コストは約9,090万円」でありました。
次に、ホール検討のタイムリミットについてであります。市議会特別委員会の陳情審査の中で、「利活用構想のスケジュールに制限され、拙速な結論を出すことはせず、市民意見を聞きながら、将来利用する市民のことも考えて検討を進めるようご意見を頂いたところであり、このことを重く受け止めております。新たなホールの早期建設を望む声があるのも事実ですが、懇談会での議論などを踏まえ、改めてスケジュールを構築して行く考えであります。ご提示いただいた試算については、専門家の知見を踏まえた考えであり、示唆に富むものと考えております。なお、ランニングコストにつきましては、修繕費等も考慮する必要があるものと捉えております。コストにつきましては、利活用構想において、財政支出の縮減と最適化を今後の課題としてお示ししており、検討を更に進めるべき項目の一つと認識しております。ホールに関する検討手順として、市民意見の聴取を優先して進めており、その後、機能や規模など事業内容の詳細な検討に着手することとしておりますことから、コスト算出に必要な材料の検討が一定程度深度化した段階で、コンサルタントなど専門知識を活用したコスト試算の必要性について判断して行きたいと考えております。市民ホールをはじめ、本事業全般につきましては、将来利用する市民のことも考え、市民の皆様、市議会ととに今後も慎重に検討を進めてまいります。
私の質問2回目
ケミコン跡地について、2回目の質問です
1、懇談会について伺います。
(1)まず、メンバー選び等、現状どうなっているか?
(2)有識者とはどのような人達?なのか、どのような人達を考えておられるのかお示しください。
(3)使い勝手の悪いホールにはリピーターは来ないと言われます。有識者に建築・舞台・音響等の専門家を入れるべきと考えますが、どうか
(4)メンバーが固まった後、会議は誰が主導するのか?どの程度の頻度・スピードで会議を開催して行くのかお聞きします。
(5)会議を進めるについても、具体的な数字が無くては議論が進まないと思いますが?その点、どう考えておられるのか、 そして
(6)懇談会の意見は市の方針にどのように反映させるのか?お示しください。
市長答弁(2回目)
ホールにかかる懇談会は、13人の委員をもって組織することといたしております。その内訳は、「文化・芸術に造詣の深い有識者が4人」、「青梅市文化団体連盟から選出された方」、「青梅市文化交流センター生涯学習コーディネイター」、「青梅商工会議所から選出された方」がそれぞれ1人ずつ、そして「市民代表が6人」であります。委員の選考状況でありますが、市民代表6人につきましては、無作為抽出による公募により内定しております。青梅市文化団体連盟などから選出することになっている公募によらない委員3人につきましては、各団体等へ就任依頼を行い、ご本人から委員就任の承諾を頂いております。残る文化・芸術に造詣の深い有識者4人につきましては、委員就任の打診を順次行っており、2人の方から内諾を得ている状況であります。内諾を得ている有識者は、公益財団法人全国公立文化施設協会の事業において、事業の企画実施や、管理運営等に関する指導・助言を行う専門家として、地域や施設に派遣されている方々であります。有識者の選任に当たっては、できるだけ幅広い分野から選出できるよう取り組んでおり、建設などの専門家についても留意して進めております。
次に懇談会の運営についてであります。懇談会の設置要綱により、委員の互選によって選ばれた会長が議長を務めることとなっておりますので、会長に主導して頂くものと認識しております。このため、懇談会の開催頻度等についても、会長と相談のうえ決定してこととなりますが、市といたしましては、2,3か月の一度の頻度で開催頂けるよう調整していきたいと考えております。コスト等の提示についてであります。懇談会での会議が円滑に進められるためには、全ての委員が基本的な情報を共有することが不可欠と捉えております。このため、基本情報を提供した上で、会長の考えのもと、論点整理を行って、その後の会議を進めていただく考えであります。この過程において、コスト試算の基本的な構成要素と概要などについても適宜提供し、コストも意識した議論を頂くよう適切に対応してまいります。なお、懇談会の意見につきましては、庁内に設置している検討委員会で議論するとともに、市議会特別委員会にも報告し、今後策定する整備基本計画に反映するよう取り扱うこととしております。
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