(1回目)
1、大きな2番目として、「青梅市森林整備計画」と森林事業の促進について伺います。
計画は森林法10条の5により、市町村が地域森林計画の対象民有林に付き、10年を1期とする整備計画を5年ごとに作成するものとされ、平成28年4月から38年3月末までの計画が示されています。「青梅市森林整備計画」書はこれであります。計画書冒頭の現状では、青梅市は総面積103,3平方キロ・10,331ヘクタールの内63%にあたる6,464HRが森林であり、その73%が人工林であり、その殆どがスギ・ヒノキであると記載されています。因みに人工林の全国平均は41%であり、当市においては圧倒的に人工林の比率が高いと言えます。また、その所有形態は全体の95%、6,159HRが私有林(わたくし)であります。林家戸数は2010年時点で346戸、内5HR以下の林家戸数が269戸、78%を零細所有者が占めています。因みに、市内専業林家は1軒のみだそうであります。次に課題としては、国産材の価格低迷による林業従事者の減少や高齢化が進み、生産活動の停滞による森林の荒廃や放置化が危惧されるとし、「山地災害防止・土壌保全」・「水源のかん養」・「保険・文化」等森林の持つさまざまな「公益的機能」に視点を置いて、財源や労働力の確保を図ることが緊急の課題であると指摘しています。そして、このような観点から、高品質の木材生産を推進するとともに、立地条件等に応じた公益的機能の高い広葉樹の造林・育成及び複層林への誘導等による整備を図っていくことも必要であると指摘しています。以上の課題認識の下、森林整備の基本方針として、森林の有する多面的機能を総合的かつ高度に発揮させるため、各機能の充実と機能間の調整を図り、立地条件や住民のニーズに応じた広葉樹林化・針広混合林化、天然力も活用した施業,受光伐採等による育成複層林への誘導、スギ等の花粉発生抑制対策の推進など機能に応じた適正な森林施業を実施し、健全な森林資源の維持造成を推進するものとするとの、方針決定がされています。森林整備に関する現状認識とそれに対応する基本方針には全く異論は無く、賛意を表するものありますが、この計画を実行に移し森林事業を活性化させていくには大変な努力を要すると思います。森林整備は数十年に亘る息の長い事業でありますし、ましてや現状の厳しい財政の下では、打つ手は限られると思いますが森林の荒廃を防ぎ、資源を少しでも有効に活用したいとの観点から、計画で課題とされた事柄に付き質問いたします。
(1)まず、高品質の木材生産を推進するとの課題についてお伺いします。木材生産活動停滞の一番大きな要因は国産材の価格低迷にあります。国産材の価格は昭和35・6年をピークに一貫して右肩下がりの状況にあり、回復の兆しは見えません。背景には建築様式の変化と昭和39年の木材の輸入完全自由化に伴う低廉な輸入材の流入にあります。輸入の影響は大きく昭和30年代には80%を超える国内自給率であったものが、平成7年以降20%前後で推移し、平成12年には18.2%まで落ち込みました。平成21年農水省は森林林業再生プランを作成し、平成32年までに国内自給率50%を目指すとの計画を立てていますが、現状は遠く及ばない状況にあります。価格低迷は当市産の木材にあっても同様であります。加えて、当市産の木材の場合、見落としていけない要因として戦後の生産活動があります。すなわち、戦後復興・建築ブームに乗り、植林後20年そこそこで商品になる、足場丸太、いわゆる長杉に生産をシフトした時期があった事を忘れてはならないと思います。つまり、質を横に置いて経済性を重視した時期があった訳です。因みにそのような杉も50年を経過し、以前なら十分に売れる木材になった訳ですが、全く値段が付かない、これが現実です。このような現状でも、森林事業は息の長い事業でありますし、きちんと森林の手入れをして、少しづつでも木材の質を上げていくことがまず求められます。その点でまず第一に挙げられるのが、多摩森林再生事業であります。この事業は手入れが行われず荒廃している多摩地域のスギ、ヒノキの人工林について、山林所有者と協定を締結し、東京都が費用を負担して市町村に業務を委託し、間伐作業を実施するもので、平成14年度から50年間平成63年度まで続くものです。当市では今年度も間伐で90ヘクタール、枝打ちで15HR,の計90百万円弱の予算を計上しています。
そこで、お聞きしますが、この事業で実施した間伐面積は平成14年度以降累計でどの位になりますか?それは山林面積、人工林の何%位になりますか?山林所有者では何人・何%になりますか?以前、市の予算で実施していた「間伐実施事業補助金」での面積・人数についても、お示しください。そしてこの森林再生事業は東京都からの事業委託とはいえ、森林再生のためには、欠く事の出来ない事業と考えますが、市としてこの事業をどう位置づけているかに付いてお答えください?
(2)次に地元産材の利用について伺います。
木材価格の低迷は需要の低迷にあります。需要を喚起する事が極めて重要で、その点公共施設での地元産材の利用促進が大きな原動力になると思います。「森林整備計画」では「地域産材である多摩産材の普及PRを図り、公共施設及び民間での利用拡大を推進する。」とあります。そして、この程、市では「青梅市公共建築物等における多摩産材利用推進方針」を決定しました。この目的・意義・狙いについて、ご説明下さい。そして現在進行中の公共施設再編計画とどうリンクさせて利用促進を図っていくのか?更に高品質な木材生産に結びつけるための具体策があればお示しください。
(3)木材生産に関連し路網整備について伺います。
国の森林・林業再生プランでは林業の低生産性の要因の一つに、路網整備の遅れを指摘しています。市の「森林整備計画」でも生産性向上の観点からの林道整備の必要性を指摘していますが、林道は災害時の避難等にも重要な役割を持っています。特に、基幹路網の整備に際しては、安全の確保、土壌の保全に留意とありますが、地域の防災計画等とどのように関連付け策定しているのかについて、及び予算措置(治山林道振興経費)の優先順位についてご説明ください?
(4)広葉樹林化、複層林化について伺います。広葉樹は水源涵養効果が高く、季節感を演出する効果もあり、保険文化機能を維持増進させる等重要な役割を持っています。しかしながら、市内山林の73%はスギ、ヒノキの人工林で、広葉樹林の比率は低く、結果として青梅の山は暗いとの芳しくない評判に繋がっております。とりわけ、広葉樹林は東部地区に集中し、西部・北部地区は御岳山の天然林を除けば、殆どがスギ・ヒノキの人工林で、青梅線からの眺望・景観もいまひとつ物足りないものとなっております。この事実は、観光の観点からもマイナスであり、青梅線で御嶽・奥多摩方面への観光客誘致に資するためにも、この地域の広葉樹林の比率を高めて行く事を検討すべきと思います。しかしながら現状況下、自ら進んで費用のかかる広葉樹林化に手を染める山林所有者はまずおられません。市がこの事業を推進するには、山林所有者に何らかのインセンティブを与えることを考える必要があるかと思います。かつては、平成13年当時「広葉樹造林事業補助金」が予算付けされていました。が、今はありません。そこで、質問ですが、この造林事業補助金はどのような目的で予算化され、どんな内容だったのか?その後どの位の期間・金額・面積で執行されたのか?そして、何故やめたのか、財政上・その他の理由があったのか等について教えて下さい?
(5)広葉樹林化に関連し、花粉発生対策としての森林事業について伺います。これについては、東京都と東京都農林水産振興財団が平成18年度から「花粉の少ない森作り運動」を展開し、伐採後花粉の少ない苗の植樹を行うものですが、市内山林の実績を教えて下さい?また、民家に近いところでは、広葉樹林化も考慮するとも聞いておりますが、広葉樹林化・複層林化との関連について回答下さい?
(6)森林セラピーについて伺います。森林セラピーについては奥多摩町が観光の核として力を入れ、ホームページにも巨樹と清流の町「おくたま」と紹介しています。町では各種体験施設をセラピー基地として整理し、セラピーロードとして特色ある5コースを申請しています。そして、このようなセラピー基地は全国に60箇所あるようです。森林セラピーに関し、議会では榎沢議員が新産業創設の観点から、また、やまのうち議員がストレス解消の観点から取り上げておられます。このうち、榎沢議員への答弁で、平成22年当時、竹内市長は有効性は認めつつも各種施設整備や人材育成を総合的に考える必要があると答弁されています。浜中市長はどのようにお考えになりますか?私は都心等から青梅に人を呼び込む新たな観光開発の一つとして、また、多くの人々が森林に親しむ端緒として、奥多摩町との連携を図りつつ、「森林整備計画」の中で検討して行くべきと考えますが、市長の見解を伺います。
(7)林業従事者の養成・確保、後継者の育成について伺います。林野庁の統計によりますと、高齢化と従業者の減少に歯止めがかかりつつあり、自然の中で働きたいという新規就業者も出てきているとあります。また、「青梅市緑の基本計画」では若い世代の林業従事者による行政界を超えた主伐や間伐などの請負も出てきている指摘しています。「整備計画で」は従事者・後継者の育成・確保の方針が書かれていますが、青梅市としての具体策がもう一つ良く見えて来ません。市内面積の6割を超える森林の将来は市の環境保全の観点からも、極めて重要であり、森林維持管理・木材生産の技術等を伝承発展させていくことは極めて重要な政策課題であると思います。先進自治体あるいは近隣市町村等の対策について情報収集することを含め、青梅市としての独自の対応策を森林整備計画の中で検討して行くべきと考えますが、市長の見解を伺います。以上、1回目の質問とします。
次の質問へ・・・詳細はこちら
〒198-0063
東京都青梅市梅郷6-1511
TEL 0428-76-0358